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社長ブログ

新規事業の初期プロダクトは、より尖れ。

「まずは、パワポに書いてごらん。それを関係者に見せるんだ。それが最小のPoCだよ。」

そんなアドバイスを受けた経験のある起業家は、多いのではないだろうか。

冷静に考えてみてほしい。

仮にあなたがアドバイザーの立場だったらどうだろう。

自分より若く野心に満ち溢れた起業家の、想いに満ちたスライドを見て、あなただったら何というか。

いや、その前に、そもそも、あなたはその事業のペルソナの集約的な意見の持ち主なのだろうか。

いずれにしても、きっとあなたはその起業家に良いアドバイスをしてあげるだろう。背中を押してあげるに違いない。

でも、新規事業はそんなに甘くない。

「あんなに評価してくれていたのに、リリースしたら買ってくれない。」

なんて、よくある話だ。アドバイザーはアドバイザーだし、顧客は顧客なのだ。

そして、プロダクトを提供する顧客は、その起業家のことなど知らないし、常に代替案を持っている。

“It's the only way.” と思わせるその何かを、明確に持っていないと、そのプロダクトはゴミとなる。

だから、はっきりいってプロダクトを市場に出さない限り、そのものの価値は測れないと、僕は常に思っている。

そして、その出し方も、非常に重要だ。

その意味で大事なのは、Simple is best. これに尽きる。

なぜならば、先にも述べた通り、

“It's the only way.”

と思わせなければならない、というのが、新規事業の最初のハードルであるからだ。

つまり、USP(Unique Selling Proposition)と言い換えても良い。

"The Unique Selling Proposition (USP) should be something that your competitors either cannot, or do not, offer. 

It must be unique—either a uniqueness of the brand or a claim not otherwise made in that particular field of advertising."

ユニークセーリングポジション(USP)は、競合他社が提供できないか、提供しないものでなければならない。

それはユニークでなければならない-ブランドの独自性、または広告のその特定の分野で、他にない主張のいずれかでなければならない。

ーRosser Reeves(USP提唱者)

彼は、こうも言っている。

"The consumer tends to remember just one thing from an advertisement— one strong claim, or one strong concept."

広告から消費者が覚えているのはたった一つの強い主張やコンセプトだ。

ーRosser Reeves

そんな視点に立った時、プロダクトを作るその前に一つ冷静になって考えてほしい。

「なぜ、そのサービスを顧客は手に取るのか。」

それこそがUSPである。

この一点に尖ったプロダクトを出すべきだ。

ここで起業家が行うべきなのは、ラインナップの拡充ではない。

唯一無二の一点突破である。

USPを明確にした初期プロダクトのリリースは、他にも様々な利点を持つ。

一つ目に、学習の明確さだ。

例えば、ラインナップ拡充型のサービスを市場に出し、仮にフィットしなかったとしよう。

さて、あなたはそこから何が学べるだろうか。

逆に、一点突破型のプロダクトをリリースし、失敗したとしよう。

もし、マーケティング面での失敗だったのなら、USPそのものが顧客に刺さっていないと明確になる。ユーザーインサイトを深掘りし、USPを考え直すべきだろう。

逆に、マーケティングは成功したのちプロダクトが合わなかったのであれば、USPを起点に、UXを考え直しプロダクトのみを改修すれば良い。

いずれにしても、素早いピボットが可能になるのだ。

初期プロダクトにおいて何よりも大事なのは、完成物の提供ではなく、仮説検証による学習の機会だ。

"Do not be afraid to fail. It's just an outcome. Failure teaches you what your next move should be."

失敗を恐れてはいけない。それはただの一つの結果に過ぎない。失敗はあなたが次にどう動くべきかを教えてくれる。

ーSara Blakely(Spanx 創業者)

二つ目に、オペレーションとカルチャーの構築のし易さがある。

USPを明確にした初期プロダクトについて、デリバリープロセスを考えてみよう。

まず、マーケティングがシンプルになり、問い合わせしてくる顧客が何に興味関心を持っているかの想定も、簡単になる。

もちろん、その後の営業もシンプルになる。極論、たった一言の価値訴求でクロージングできる可能性すらある。

USPの一点にフォーカスしてユーザーとコミュニケーションと取れば良いため、導入は簡単だ。

余った時間をユーザーのペインの深掘りや顧客との関係構築に時間を費やせば良い。

また、サービスを実際に使用してもらう際の不具合も少なくなり、ユーザー体験が簡素化し、結果サービス全体のUXが向上する。

社内の組織構築においても、会社のバリューが明確になるため、行動指針を策定しやすい。

また、個々が、"何が会社の強みか"について、自社のサービスを通して理解しているので、いわゆるカルチャー醸成が簡単になるのだ。

このように、USPにフォーカスしたシンプルさは、価値・UX・強み・カルチャーなどあらゆる面を明確化し、尖らせるのである。

最後に、価格競争をしなくて済む。

最後に、エッジがきけばきくほど、競合が減る。競合がいない(もしくは少ない)のであれば、価格競争をする必要がない。

営業やマーケティングすらする必要がない可能性もある。

利益を生み出すことで、より良いサービスの構築に繋がり、また、追従してきたプレーヤーがいたとしても、参入障壁が大きくなるのだ。さらに、競合に大企業がいたとしても、USPを明確に持つことで、差分が生まれる。

そして、その絞り込みこそが、ベンチャーの唯一の長所であるスピードに繋がり、我々を勝利へと導いてくれるのだ。

Competition should be avoided. Creating a unique business and breaking away from competition is the path to success.

競争は避けるべきだ。ユニークな事業を創り、競争から脱却することが成功への道だ。

Peter Thiel(PayPal共同創設者)

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