新規事業開発を成功させるには?ポイントや企業の事例を紹介
こんにちは!Biz Freak取締役COOの長谷川です。今回は新規事業開発について解説していきたいと思います。私は以前、NTTドコモで新規事業の立ち上げを経験し、現在は外部から大企業の新規事業立ち上げを支援しています。
まずは新規事業の概念を解説した上で、具体的なプロセスに進んでいきたいと思います。なお、本ブログでは「市場分析をしましょう」「競合分析をしましょう」といったような一般的な内容についての解説は割愛します。テーマは新規事業ですが、基本的なビジネススキルの向上に役立つものとなっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
- 新規事業はいかにチャレンジできるかがキモ
- 新規事業は徐々にマーケットにフィットさせていくもの
- 新規事業開発のプロセス
- マーケットインであるべきか?プロダクトアウトであるべきか?
- ターゲットを明確に!ペルソナはフワッとさせない。
- 自社製品・サービスのUSPは何か?
- カスタマージャーニーで顧客と向き合う
- サービスブループリントでアクション・機能を整理
- 新規事業開発が進んでいる企業の特徴
- 既存事業と新規事業で部門が切り離されている
- 意思決定プロセスが早い
- 担当者の圧倒的な当事者意識
- ITリテラシーが高い
- アジャイル思考の文化となっている
- 新規事業開発ならBiz Freak
- まとめ
新規事業はいかにチャレンジできるかがキモ
新規事業と既存事業の大きな違いの一つは、不確実性にあります。新規事業は市場に出すまで反応が分からず、既存事業に比べて失敗する可能性が非常に高いものです。一般的には成功率が10〜20%と言われています。
そのため、新規事業を成功させるには、市場に出す回数(チャレンジの回数)を増やすことがキモとなります。市場の反応を見ながら軌道修正を行うことで、成功の確率が高まります。成功するまで継続的に挑戦し続けられる仕組みや進め方が重要です。一方で、事業がスケールしなかった場合の撤退基準をあらかじめ設定しておくことも必要です。
新規事業は徐々にマーケットにフィットさせていくもの
新規事業における成功の定義は何でしょうか?売上でしょうか?利益でしょうか?ユーザー数でしょうか?もちろん新規事業で爆発的に成果が出れば良いのですが、最初からそう上手くはいきません。なぜなら、リリースをしてみないと顧客の反応は分からないからです。ユーザーインタビューで9割の人が「使います」と言っていても、実際に課金してまで使うユーザーは1割以下かもしれません。よくありがちなのが、最初から100点満点を狙いにいくパターンです。100点満点のサービスを狙いにいこうとすると、膨大なお金と時間がかかってしまいます。いざ、気合いを入れてリリースしたが、世に出してみたら、「全くニーズがなかった…」なんてことも多々あります。そして、リリース段階で、すでに膨大なお金と時間をかけていると、ピボットしにくい…など、負のスパイラルに陥ってしまいます。
新規事業開発は、世に出してから顧客のニーズにあわせてピボット・修正していくことが当たり前だと思って良いでしょう。最初から100点満点を狙いにいくのはお勧めしません。
新規事業開発のプロセス
新規事業開発のプロセスには様々な手法がありますが、おさえておくべきポイントについて、解説していきたいと思います。
マーケットインであるべきか?プロダクトアウトであるべきか?
新規事業を考える際に議論となるのが、マーケットインでアプローチすべきか?プロダクトアウトでアプローチすべきか?という点です。
マーケットイン(Market-In)とは、市場や顧客のニーズ、要望を基にして製品やサービスを開発するアプローチのことです。ユニクロなどがその代表例として有名です。四季折々の日本の気候や消費者のライフスタイルに合わせた衣料品の提供、日本国内での販売戦略(店舗の配置やサイズ展開)がそれにあたります。
プロダクトアウト(Product-Out)とは、企業が自社の技術やアイデア、リソースを基にして新しい製品やサービスを開発し、市場に投入するアプローチのことです。こちらは皆が大好き、Appleが有名です。数多くの革新的な製品を市場に投入してきました。プロダクトアウトのアプローチにより、Appleは新しい市場を創造し、他社が追随する製品標準を設定するリーダーとなりました。
どちらのアプローチが良いかは、事業の性質や市況に依存しますが、多くの企業がプロダクトアウトという思考になりがちです。もちろん自社の製品・技術に自信があるという気持ちはよく分かりますが、本当に顧客が求めているものなのか?を一度立ち止まって考えるべきです。まずはマーケットインでのアプローチをおすすめします。
多くの成功した新規事業はマーケットインとプロダクトアウトのバランスを取ったアプローチを採用しています。市場のニーズをしっかりと理解しつつも、自社の強みや革新性を活かして差別化を図ることが重要です。顧客のフィードバックを迅速に取り入れ、製品やサービスを柔軟に改善していくことが成功の鍵となります。
ターゲットを明確に!ペルソナはフワッとさせない。
新規事業のお作法である、ターゲット選定とペルソナ分析。当たり前のようにしていると思いますが、多くの企業がターゲットが明確になっていないケースが多いです。我々は大企業をご支援させていただくことが多いのですが、大企業にありがちなのが「20代〜40代の男女」などと設定しているケースです。ターゲットが絞りにくい場合でも、まずはどこの層をドライバーとしてアプローチしていくのか?は検討すべきです。
次にペルソナです。ペルソナ(Persona)とは、製品やサービスのターゲットユーザーを具体的に描写してみることです。しかし、ペルソナが「ペルソナになっていない」こともよくあります。よくありがちなのは、年齢、性別、職業、家族構成などの基本的なデモグラフィック情報までは具体化できているが、最も重要なニーズや行動パターンまで深く追求できていないケースです。もし、ペルソナに当たる人物が周囲にいる場合は、その人をそのまま当てはめてみて分析することをおすすめします。
自社製品・サービスのUSPは何か?
USPという言葉を聞いたことがありますでしょうか?USP(Unique Selling Proposition)とは、製品やサービスが他社のものと明確に差別化される独自の特長や価値を指します。ここで大事なのは「明確に差別化」という部分です。これは誰が見ても「このサービスは〜が違う」と認識できる状態のことです。言葉で言うのは簡単なのですが、実際に差別化して、顧客に認識してもらうことは容易ではありません。
USPを明確にすることは、競合優位性が確立・ブランド認知の向上に繋がります。あなたの企業が提供している商品・サービスのUSPは?と質問されたら即答できますか?言語化できますか?
カスタマージャーニーで顧客と向き合う
新規事業開発でおさえておくべきフレームワークとして、カスタマージャーニーがあります。カスタマージャーニー(Customer Journey)は、直訳すると「顧客の旅」という意味で、顧客が製品・サービスと出会い、そこから購入・契約に至るまでの道筋のことです。ユーザーがどのような行動をとり、どのような気持ちになるのか、まずは一人の顧客と向き合うことが重要です。
引用元:カスタマージャーニーとは?考え方やマップの作り方などを解説
近年は、こういった顧客起点のマーケティングが重要視されています。背景としては、顧客の多様化とオンラインでの商品やサービスの認知方法の多様化により、企業はさまざまな見込み顧客に対応し、顧客化を促進する必要があるからです。SNSや口コミサイト、比較サイトなど、様々なオンラインプラットフォームが顧客との接点となっています。
このような状況下では、企業は顧客体験を一貫性を持ってマネジメントすることが重要です。顧客がたどるカスタマージャーニーを可視化し、各ステップでの感情やニーズを整理することは不可欠です。カスタマージャーニーは企画立案、製品開発、マーケティング戦略、UI/UXデザインなど、様々な場面で活用されています。
サービスブループリントでアクション・機能を整理
カスタマージャーニーの応用編!と言っても良いのが、サービスブループリントです。サービスブループリント(Service Blueprint)とは、サービスの設計や改善を行うためのツールや手法の一つです。具体的には、「カスタマーアクション」「フロントステージアクション」「バックステージアクション」「プロセス」などのカテゴリごとに、サービスが提供される過程を視覚化し、そこに必要なアクションや機能を整理していきます。
引用元:サービスブループリントとは?使うメリットと作り方、カスタマージャーニーマップとの違いをやさしく解説
サービスの複雑な性質を視覚化し、理解することで、サービスの品質向上や効率化を目指すための手段として広く受け入れられています。特に顧客満足度やエクスペリエンスの改善に向けた取り組みにおいて、重要な役割を果たしています。一般的にあまり知られていませんが、UXデザインの手法としてお勧めです。
新規事業開発が進んでいる企業の特徴
ここまでは新規事業開発のプロセスについて解説してきました。ここからは、新規事業開発が進んでいる企業の特徴を紹介していきます。前提として、ITによる新規事業開発のケースとします。
既存事業と新規事業で部門が切り離されている
まず、新規事業開発が進んでいる企業では、既存事業と新規事業を明確に分けた部門体制となっています。部門を切り離すことにより、既存の業務や組織の枠組みにとらわれず、新規事業に集中することが可能です。また、グループ会社を設立して新規事業を行うというケースも見られます。
また、新規事業と既存事業はそれぞれ異なる成長段階にあります。新規事業は成長段階にあり、市場投入や顧客獲得などの目標が既存事業とは異なります。そのため、設定されるKPI(Key Performance Indicators:主要業績評価指標)も異なり、例えば、短期的な利益獲得よりも、市場シェアの拡大や新規顧客の獲得率などが重視されることがあります。
意思決定プロセスが早い
新規事業開発が進んでいる企業の特徴として、意思決定プロセスが迅速です。この迅速さは、市場の変化や競争環境に適応するために不可欠となります。経営陣や関係者が迅速に情報を共有し、必要な判断を行うことで、企業はイノベーションを促進し、市場投入のタイミングを逃さずに済ませることができます。このような意思決定の迅速さは、企業の競争力を強化し、市場の変化に対応するための重要な要素となっています。
担当者の圧倒的な当事者意識
新規事業に限らず、何かを成し遂げる上で最も重要なのは熱意です。多くの企業の新規事業開発を支援する中で、「成功している企業とそうでない企業の違いは何ですか?」と聞かれることがあります。その違いは担当者の熱量にあります。大企業では、プロジェクトに多くの人がアサインされると、「誰かがやってくれるだろう」という心理が働きがちです。しかし、「このプロジェクトを成功させるのは自分だ」という強い当事者意識があるかどうかで、事業立ち上げのスピードは大きく変わります。
ITリテラシーが高い
ITは現代において基本的な教養の一部となっています。企業の経営者や担当者が最新のテクノロジーに追いついていないことは、むしろ恥ずかしいとされる時代です。さらに、ITベンダーや開発会社に業務を依頼する際、知識不足が原因で指示が抽象的になり、作業のスピードが低下したり、無駄なコストが発生したりします。ITリテラシーの高さは、アジャイルな開発プロセスの支援や迅速な意思決定を促進するために必要です。企業全体でのITリテラシー向上は新規事業の革新と持続的な成長を支える重要な要素となっています。
アジャイル思考の文化となっている
開発には、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の2種類があります。ウォーターフォール開発は、段階的かつ順序立てて進む手法であり、開発の各段階(要件定義、設計、開発、テスト、導入)が進行します。各段階の完了後に次の段階に進むため、変更が発生した場合には戻る必要があり、柔軟性に欠けるとされています。一方、アジャイル開発は、短い期間で機能を迅速に開発し、その間に継続的に顧客フィードバックを取り入れながら進めていきます。アジャイルでは、開発チームが自己組織化し、短いスプリント(開発期間)内で作業を行い、柔軟に変更に対応します。この手法は市場の変化に素早く対応し、顧客のニーズを満たす製品やサービスを迅速に提供することが可能です。
新規事業の場合、ウォーターフォール開発は市場投入までの時間が長く、顧客フィードバックを得る機会が限られるため、リスクが高くなります。逆に、アジャイル開発は市場投入までの時間を短縮し、早期に市場の反応を受け取りながら製品やサービスを改善できるため、成功の可能性が高まります。
しかしながら、伝統的な企業では変化に対する抵抗感や既存の手法への執着があり、アジャイル開発をまわすことが難しい場合があります。市場の迅速な変化に適応するためには、100点満点ではない状態から始めて、途中で調整しながら市場の要求に対応する発想が重要です。このアプローチがアジャイル開発の思想に通じる点であり、企業がイノベーションを促進し、競争力を強化する手助けとなります。
新規事業開発ならBiz Freak
Biz Freakは、アジャイル開発で大企業の新規事業開発を支援しています。最先端の開発ツールとコード自動生成を駆使し、3倍の速さで爆速開発と改修を行い、新規事業への迅速な対応を実現します!
まとめ
この記事では、新規事業開発の重要なポイントを解説しました。新規事業は不確実性が高く、市場の反応を見ながら継続的に改善を行うことが成功のカギです。マーケットインとプロダクトアウトのバランスを取りながら、顧客のニーズを満たす製品やサービスを提供することが重要です。さらに、ターゲットの明確化やUSPの明確化、そしてアジャイルな開発プロセスの導入が、市場競争における優位性を築く手助けとなります。新規事業開発で迷ったら、Biz Freakにお任せください。スピード感のある開発で新規事業開発をご支援します。