3ヶ月でSaaSからのリプレイスを完遂。年間100件を超える改修にも爆速で最適解を提示してくれる伴走者
三菱地所リアルエステートサービス株式会社様
三菱地所リアルエステートサービス株式会社
新事業推進部 TAQSIE事業室長 落合 晃 様
3ヶ月でSaaSからのリプレイスを完遂し、年間100件を超える改修にも爆速で最適解を提示してくれる伴走者がBiz Freak。新規事業に精通しつつデジタル戦略と開発に長けており、知見と経験を持っている稀有な存在。リプレイス後、5~6倍の成約数へ。
三菱地所グループの一員として不動産に関するサービスを扱う三菱地所リアルエステートサービス株式会社。同社ではさまざまな新規事業に取り組んでいますが、中でも成長著しいのが家を売りたい人と仲介・買取のプロをマッチングさせる『TAQSIE(以下タクシエ)』です。
Biz Freakでは2023年1月に『タクシエ』のシステム全面リニューアルをご支援して以来、継続的にサービス改修に従事しています。今回は新事業推進部で事業室長を務める落合様にインタビューを実施。Biz Freak代表の平を交えてプロジェクトで感じた手応えや今後に期待することなどをお伺いします。
新規事業だからこそ、こまめにアジャイルでPDCAを回したい
ー今回のシステム全面リニューアルの背景を教えてください
落合:『タクシエ』は2022年の5月にローンチしたサービスなのですが、もともとはSaaSのマッチングシステムを土台に構築していました。当初はゼロから作るより、ある程度パッケージされたプロダクトをベースにスタートしたほうが早いだろうと考えていたんです。ただ中長期的な観点から見ると、いずれフルスクラッチのタイミングが来るだろうと予想はしていました。
ーかなり早い時期にその機会がやってきたことになります
落合:サービス開始から半年後でしたね。初期費用は抑えられたもののランニングコストが嵩んできたことと、SaaSだけにある程度制約があることに加えて改修のスピードにも課題を感じていて。『タクシエ』は新規事業ですからこまめにアジャイルでPDCAを回す必要があります。そこを早くできないかという課題が事業運営の過程で顕在化してきたんですね。そこからベンダーさんの選定に入ったというわけです。
ーBiz Freakを知ったのはどういった経緯から?
落合:事業部内にDXに長けたメンバーがいて、彼がBiz Freak代表の平さんとたまたまMBAの経営大学院で同窓生だったことがきっかけです。今回も数社に打診をしていたんですが、Biz FreakさんはアジャイルかつAIとノーコードツールを活用して、スピーディに作っていただけるとのこと。私たちのやりたいことがスピーディに叶うんじゃないか、ということでお願いすることになりました。
ー当時すでに『タクシエ』はグロースが見込まれていたんですか?
落合:正直、一年目は試行錯誤の連続でした。目の前の課題にその都度対応することに追われていました。ただサービスとして成立する手応えは確実に感じていたし、事業としても中長期での計画を引いていました。そういった面からもパートナーチェンジに対するクイックな意思決定が働いたといえるでしょう。
それでも当社の企業規模感からいうと相当早い印象を持たれるかもしれませんね。確かレンタルで続けていくパターンと、このタイミングでリプレイスするのとでコスト比較をかなりシビアにやった記憶があります。
ーBiz Freak側では最初にこのお話が来た時、どんな感触でしたか?
平:僕らが案件をお引き受けする際の判断軸は2つあります。ひとつは僕らがバリューを出せること。そしてもうひとつはその事業自体が面白いこと。『タクシエ』は最初にお話をうかがった時点で非常に興味深かったですね。日本にはなかなかないサービスで面白いし、市場感としてもサービスとしてもグロースしそうな予感に心躍りました。
またバリューの面では僕らの開発スタイルであればかなりスピードが出せそうだなと思いました。ガンガン改修していくフェーズですから、単発ではなく継続的にお力添えさせていただきたいというのが最初の印象でしたね。
3ヶ月の開発期間で、UXを損なうことなく全面移管を
ー今回のリプレイスにおける大きな山場はなんでしたか?
落合:弊社からお願いしたポイントは繁忙期までに開発を間に合わせてほしいという点と、既存のお客様のデータをきちんと引き継いでほしいという点でした。実際にご依頼したのが11月頃で、年末年始は一緒に開発に入らせていただいた。それでなんとか繁忙期の2月頭に間に合いました。
もうひとつのデータ移管ですが、ここにもご苦労をおかけしたと思います。当時のユーザーが500〜600名、エージェントも300名ほど登録していました。これらの情報はもとより進行中の商談内容などはきちんと問題なく引き継ぐよう依頼。結果としては全く問題なく、ユーザビリティの面でもパスワードの再設定だけで一括移行できました。
平:もともとスピードとデータ移管のセンシティブな面については技術的に自信があったのですが、僕たちにとっての最大の難関は既存システムのソースコードが取れなかったこと。仕様をお伺いしつつ、見た目を確認しながら開発を進めていく点でしたね。
最初の2ヶ月で根を詰めて一気に作りました。ラスト2週間ぐらいで認識の違いや未実装の箇所など相当数出てきたんですが爆速開発で次々に消化。そこから先はユーザーが何を求めているか解析しながら新機能を実装していきました。具体的には不動産価格のAI査定機能と、地図ベースでの類似事例閲覧・マッチング機能の追加になります。
ーなるほど、他に壁を感じたところはありますか?
平:壁というわけではありませんが、今後のグロースが予想されるので不動産の住所情報をどう保持するのかという観点からDBやサーバなどバックエンドのスペックをどれぐらいのレベルで用意しておくか。システム構成について先々まで考えて構築していきましたね。
ー発注側として安心感を覚えたのはどのタイミングでしたか
落合:私自身、リプレイスは初めての経験でしたので無事にローンチできた時ですね。システムが稼働して問題なくお客様の情報が引き継がれ、サービスが動いているときに安堵したというのが正直なところです。もちろんいったん検証環境が上がってきて、やり取りする過程で課題が解消されていったので決して不安だったわけではありません。
ーコミュニケーションの面ではなにか課題のようなものは?
落合:ミスコミュニケーションは全くなかったですね。タスク管理ツールやSlackを使いながらスムーズに進められました。直近も大きめの新機能実装があったのですが、弊社側の要望というか描くイメージに対して当初に想定した手段以外の方法を提案して頂いたり。相互理解が深まっていることからさまざまな判断材料を提供してくれて非常に助かっています。
平:コミュニケーションの上ではやはり事業理解がものすごく大事だと思っています。作る側が言われた通りにシステムを構築するのではなく、その事業において何が大事なのかとかユーザーのリテンションを高めるにはどうすべきかといったことを理解した上で開発に臨むべきなんです。
だからそれはなぜやるのか、何のための開発や改修なのかについて毎回しっかり確認しています。開発を複雑にしてしまうとお互いにデメリットしかないので、できるだけシンプルにイシューの解決に向けての会話を重ねてきましたね。
成功の要因は“ワンチーム”とハイブリッドな技術
ーリプレイスから一年半ほど経過しています
落合:改修に次ぐ改修を重ねて、一番最初につくったプロダクトと比較すると全く違うものになっています。大きな変更点としては昨年7月に仲介以外に買取サービスをスタートしたり、細かい部分でUIもずいぶん変えているので。ちょっと数えてみたのですが、改修は優に100を超えていますね。半期で70ぐらいやっています。
ーかなり高頻度ですね!
落合:ユーザーやエージェントのニーズをヒアリングしたり、動的な要素を確認するなかで小さな修繕もありますし、登録後の通過率に関わるような抜本的デザイン改修もでてくるんですよね。またユーザーが増えていくと今度はデータをどう上手く処理するかといった課題もでてきます。そのあたりも含めるとどうしても改修の頻度は上がります。
ー改修に関するBiz Freakの対応はどうですか?
落合:平さんはもちろんですが一緒にやってくれているPMの長谷川(貴)さんも私たちの「こうしたい」をもれなくキャッチアップしてくれます。こちらからの要望や依頼ひとつひとつに真摯に向き合ってくれるとともに、工数も踏まえてすり合わせしてくれるんです。
これはやりたいけど工数の兼ね合いで他の改修に影響するから優先順位は下げるとか、2つの異なる改修を組み合わせたほうが早いとか。全体を俯瞰しつつ常に最適解を提示してくれるのでありがたいですね。
平:PMの長谷川(長谷川 貴)からは、本当にタクシエをグロースさせたい、何がなんでもやるんだ、という気迫を感じますね。彼はこの事業を通してものすごく成長してくれていますし、主体性を持って取り組んでくれています。それは落合さんをはじめとする皆様のおかげだと感じています。
ーリプレイス後のサービスの成長ぶりはいかがでしょうか
落合:成約の伸び率でいうと一期目と比較して5~6倍は伸びていますね。ホームページに掲載しているご成約者様の声からも『タクシエ』の評判が本当にいいのが伝わってきます。
家の売却ってなかなか上手くいかないものなんですよ。信頼できる担当者の存在は想像以上に大きいんです。そんな悩みを抱えているところで『タクシエ』を知って、無事に信頼できる売却のプロと巡り会えたというエピソードを良く耳にします。
ー新しいサービスでも同様の成果がでているとのことですが
落合:買取サービスですね。こちらも手間なくスピーディな売却を実現することで売主様から喜びの声がたくさん届いています。家を売却したお金を元手に新たに事業を立ち上げることができましたとなどといったお話を聞く度に、この事業をやっていて良かったと心から思います。
ー定量だけでなく定性面でも手応えを感じていらっしゃるのですね
落合:もちろん数字的にも伸びてきているので、あとは計画通りの成長曲線を描いていきたいですね。登録率や通過率、成果率などの指標をもとに定例ミーティングで課題点や注力ポイントなどについてディスカッションしています。Biz Freakさんとは一緒に数字改善に取り組んでいる感覚です。
ーBiz Freak側が得られた手応えはどのようなものでしょうか
平:僕らの中でアジャイル開発が成功するための定義がいくつかあるのですが、いちばん大事なのは“ワンチーム”です。会社の壁や受注発注の関係などを越えて課題感を共有し、ワンチームでプロダクトを前に進めていく体制。これを構築できたことがリプレイス成功の要因だと思います。
パワーバランスが発注側に偏りすぎると情報共有が減り、言われたことだけやろうというスタンスになるのですが、落合さんをはじめ、タクシエチームの皆様がなんでもきちんと相談できる体制を築いてくださるので、アラートひとつとっても早めに出せる。リスペクトしています。
技術面ではフロント側こそノーコードツールを活用して作るのですが、バックエンドは言語で書いています。ハイブリッド版を納品させていただいているんですね。『タクシエ』の中でも一部AIが動いていたりとか、ノーコードだけではできないことも制約なく提供できている。この先のグロースにも十分対応できる土台は構築されています。
大手企業の新規事業にも最適なパートナーシップ
ープロジェクトを通して良かった点はどのようなところにありますか?
落合:やり取りにストレスがないということでしょうか。お互い言いたいことを言いあえる関係が構築できた点は良かったですね。もちろん私たちのやりたいことを形にしてくださったことはもちろん大きな改修も一ヶ月程度で仕上げてもらえるので、開発力の高さとスピードは強く感じます。他社に相談したらリプレイスそのものに半年から10ヶ月、という回答だったので、3ヶ月は確かに爆速といえますよね。
ーコミュニケーションと技術力、そして爆速ですね
落合:提案もいただけるしリスクもちゃんと説明してもらえるので、発注者としてジャッジがしやすいです。本当にいい人ばかりなので構えることなく相談できる。開発の現場ってどうしてもミスコミュニケーションが起きやすく、完成したあとにこれ違う、みたいなことが少なくないと思います。でもBiz Freakさんとはふだんからやりとりの密度が違うので、まずそういった齟齬は生まれにくいのだと思います。
あとは平さんをはじめみなさん事業者目線をお持ちだということですね。新規事業支援をなさっていることがその要因だと思うのですが。
ー事業者目線ですか
落合:例えば今回ならスキームの事情からコードがない中で同じシステムを作ることになってしまいました。これ結構大変だと思うんですよね。でもそこは事業者目線で対応してくださる。単純にシステムをつくるだけでなく、事業者の立場で考えてご提案いただけるので、コミュニケーションの質が違うんです。
私たちも競合がひしめく事業環境に置かれているので、いかに選ばれるサービスへ改修を重ねていくかという観点を大切にしています。何かアクションを起こさなければいけないときにすぐ対応できる体制を保持しておくことは重要な運営課題。その点からもBiz Freakさんはなくてはならない存在といえるでしょう。
ー職人ではなくビジネス視点を持つ開発集団なんですね
平:そこは普段から大事にしていますね。エンジニアってどうしても、これを作りたいという動機や自分の得意分野に走りがち。でもウチでは新規事業はROIがすべてだ、と言い続けています。エンジニアは常に事業がどうなっているのかを意識するように、と。
加えて落合さんの“ワンチーム”が上手く機能しているエピソードなんですが、今回のプロジェクトの担当エンジニアは『タクシエ』経由で家の売却が決まると自分のことのように喜んでいます(笑)。
ー落合さん、これからのBiz Freakに期待することはなんでしょう
落合:『タクシエ』は事業立ち上げから3年目を迎えます。ここからまた違う課題が増えてくるでしょう。たとえば初期はユーザーの動きを個別に追っていたのが、総量が増えることでデータとしてどうとらえるかという論点にシフトしてきます。そこをいまデータ整理しながら可視化できるようお手伝いいただいています。
さまざまなニーズが多様化、細分化していく中で改修もいかに優先順位をつけてどこから手をつけていくかという選択肢が増える一方です。そこをBiz Freakさんには継続的に伴走していただきたいと考えています。
平:まさにデータ解析のところはBiz Freakとしても取り組んでいます。KPIツリーを書き、その各KPIについてアプリからアクセスデータを取得。事業のボトルネックを特定していく"KPI連携型"のプロダクト改善ツール『バクソクボード』を現在開発中です。これによってKPI上のどこがボトルネックになっていて、プロダクトをどう改善すれば良いのかを知ることができ、さらに改善タスクの進捗まで追うことが可能になります。
ー最後に、Biz Freakをおすすめするならどんな企業や組織に?
落合:いま、いろいろな会社で新規事業や新しいサービス、特にデジタル系領域での取り組みが盛んですよね。みなさん初めての経験ということもあり、パートナー選びでお悩みになることも多いかと思います。新規事業に精通しつつデジタルにも長けている会社はなかなかありませんから。
Biz Freakはその両方の知見と経験を持っている稀有な存在です。大手企業の新規事業開発には非常に相性がいいと思いますね。
ー大きな会社でも新規事業は小さくはじめますしね
落合:新規事業ってスピードあげて仮説検証を繰り返して、少しでも違えば方向修正してという動きが大事だと考えています。だけど大手企業の場合、タッグを組む相手も大手ベンダーさん、という選択肢になりがちなんですよね。
私も複数社ベンダーさんとお話をしましたが、大手はかっちりとしたウォーターフォールでコストもそれなりに、というケースが往々にしてあります。それだと新規事業はやりにくいのでは、と思うんです。事業のスピード感にあわせる、あるいは超えることができるパートナーじゃないと事業自体のスケールも難しいでしょうから。
ー確かに、新規事業開発と爆速開発はBiz Freakの特徴ですよね
平:僕もCOOも大手企業出身ですから、大手ならではの文脈が汲めるのも強みかと思います。大企業で新規事業を進めるには開発水準の高さもさることながら、社内でのエスカレーションにも独特の作法が求められますからね。落合さん、本日は本当にありがとうございました。
落合:こちらこそ、これからもご支援どうぞよろしくお願いします。
ーお二人とも、ありがとうございました!
▼『TAQSIE』
https://www.mecyes.co.jp/taqsie/
▼三菱地所リアルエステートサービス
- インタビュー実施日: 2024年6月6日
- インタビュアー: 早川 博通
- 編集: 早川 博通
- 写真: 小野 千明